カルパッチョ――その名前の由来、知っていますか?
実はこの料理名、イタリア・ヴェネツィアの画家「ヴィットーレ・カルパッチョ」に由来しているんです。
生肉や魚の薄切り料理と、ルネサンス期の絵画がどうつながるのか。
この記事では、カルパッチョの意味・語源・発祥の背景を、やさしく解説します。
🥩 カルパッチョとは?意味と基本スタイル

カルパッチョとは、生の牛肉や魚を薄くスライスして、ソースをかけて食べるイタリア料理のこと。
日本では魚介を使った「マグロのカルパッチョ」「サーモンのカルパッチョ」が定番ですが、
元祖はヴェネツィアの「牛肉料理カルパッチョ」です。
この料理を最初に考案したのは、ヴェネツィアの名店「ハリーズ・バー」の創業者、ジュゼッペ・チプリアーニ(Giuseppe Cipriani)。
彼が1950年代に、お客のために作った冷菜に「カルパッチョ」と名づけたのが始まりです。
🎨 名前の由来|なぜ“カルパッチョ”と呼ばれるのか?

チプリアーニがこの料理に「カルパッチョ」と名づけた理由――
それは、ヴェネツィアの画家 ヴィットーレ・カルパッチョ(Vittore Carpaccio)に敬意を表したものでした。
ヴィットーレ・カルパッチョ(1465年頃〜1525年頃)は、鮮やかな「赤色」を使った宗教画で知られるルネサンス期の画家。
その赤色が、まさにこの料理に使われる生肉の色を思わせたのです。
🖼️ 画家ヴィットーレ・カルパッチョとは?

カルパッチョは、ヴェネツィア派の代表的な画家のひとり。
1500年頃のヴェネツィアを舞台に、キリスト教説話を緻密な街並みの中に描き出しました。
《リアルト橋の奇跡》(1496年頃)/アカデミア美術館蔵

当時まだ木造だったリアルト橋や、当時の衣装、建築など――
彼の絵画は、まさに「ルネサンス期ヴェネツィアの記録」ともいえます。
他にも代表作として、
- 《イングランド使節の到着》(アカデミア美術館)
- 《二人の婦人》(コッレール美術館)
などがあり、どれも深みのある赤が印象的です。


🌆 ヴェネツィアでつながる「料理」と「芸術」

カルパッチョという言葉は、単なる料理名を超えてヴェネツィアの美意識を象徴しています。
- 画家カルパッチョの“赤の芸術”
- シェフ・チプリアーニの“赤の料理”
もしヴェネツィアを訪れるなら――
アカデミア美術館でカルパッチョの絵を鑑賞し、その足で「ハリーズ・バー」でカルパッチョを味わってみてください。
きっと、芸術と食の“赤い糸”を感じられるはずです。
❓ よくある質問(FAQ)
- Qカルパッチョとはどんな料理?
- A
生肉や魚を薄切りにしてソースをかけるイタリア料理です。発祥はヴェネツィアの「ハリーズ・バー」といわれています。
- Qカルパッチョの名前の由来は?
- A
ヴェネツィアの画家ヴィットーレ・カルパッチョの絵に使われた「赤」にちなみ、創業者チプリアーニが名づけました。
- Qカルパッチョはどこの国の料理?
- A
イタリアのヴェネツィア発祥。現在では魚介類の冷菜として世界中に広まりました。
🧾 まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発祥地 | イタリア・ヴェネツィア |
| 考案者 | ジュゼッペ・チプリアーニ(ハリーズ・バー) |
| 由来 | 画家ヴィットーレ・カルパッチョの“赤の絵画” |
| 特徴 | 薄切りの生肉/魚+ソースで仕上げる冷菜 |
カルパッチョは、芸術と料理が融合したヴェネツィアらしい逸品。
その一皿には、500年前の絵画の情熱が今も息づいています。
「絵画の赤」と「料理の赤」。
その色彩の共鳴が、料理名の誕生につながりました。